丁度2年前。義父が風邪をこじらせ咳き込む日が続きました。夏の初めに
回復したものの咳が続いたせいか背中を圧迫骨折。骨粗しょう症が原因と
のことでした。
若い人ならコルセットをし、安静にしていると自然に治るらしいのです
が、高齢のためなかなか骨がつかず痛みが数ヶ月も続いていました。痛み
がひどいと早朝でも夕刻でも電話がかかってくるので緊急で病院へ連れて
いきます。ですが治療といえば痛み止めか点滴くらいしか方法がなく、ど
うしたものかと思っていました。
そんな時、主治医から提案されたのは骨粗しょう症を改善するため皮下注
射をするという治療法でした。骨も強くなるし本人の負担も少ない。だけ
どそれは毎日、1年から1年半継続しなければ効果がないとの事でした。
「お嫁さん、やってあげれないかな。」先生にそう言われた時、正直迷い
ました。いくら仲良くしていても毎日通うというのはさすがに負担です。
その時先生はこうも言われました。
「せっかく長生きしていても、痛みが続く日々だと生きていても苦しいだ
け、なるべく痛みがない生活をさせてあげようよ。」
その言葉に心は決まりました。生きている以上、痛みや苦しみがないほう
が幸せに決まっています。
注射自体は簡単なもので、針も糸のように細く痛みもないようでした。義
母が「私が出来たら良かったのにね。」とこぼすのですがその細い針が全
く見えないとの事。毎日清潔に針を交換することが一番大切なのでやはり
私がやる事となりました。
1年半通い続けた注射も来月の頭で終わります。あっという間の日々でし
た。おかげで義父の骨の状態も良くなり痛みはなくなりました。
筋力の衰えを取り戻すため来月からは歩行訓練も始める事となりました。
毎日通って、毎日ありがとうと言われ、私自身も沢山のものを得た気がし
ます。義父の姿、先生の言葉、時には後ろ向きになる自分の心。無駄はな
かったと思います。
心も体も痛みや苦しみがないのが理想です。私自身も心がけていきたいと
思っています。