私は飲み物を少しづつ飲む癖があります。先日もカップに手が当たり、残っていたコーヒーをこぼしそうになり、ひやっとしました。いつか大惨事になるような気がして、蓋つきの保冷マグカップを購入しました。これならゆっくり飲んでも冷めないし、蓋があるので例え落ちてもカップも割れないし飲み物もこぼれないので一石二鳥です。
そんな甘えがあったのでしょうか。数日前、夫の手が当たりマグカップごとテーブルから落ちて恐れていた大惨事を起こしてしまいました。壁にまでコーヒーの雫が飛び散る被害でした。蓋をする前、私がテーブルを離れていた時の事でした。気を付けていたのに、ちょっとの差、気のゆるみで事は起きるのだと思いました。
そう言えば、子供の頃、ひやっとする出来事がありました。父の自転車の後ろに乗り、川沿いの道を走っている時の事です。そのころの道にはまだガードレールがなく、小高い崖のような細道で父が道のギリギリのところを走りだしたのです。すぐ下には川の激流が見えました。私は父がわざとギリギリを走って驚かせようとしているのかと思いました。不思議と怖さはなかったけど言わなければと父に言いました。「川に落ちそうだよ。」と。その瞬間、父は我に返り、道の真ん中に軌道を変えました。
ずいぶん経って大人になった時、あの時は危なかったと父が告白したのでよく覚えています。あの道で急にぼんやりしてしまったそうです。もし私が声をかけなかったらどうなっていたのか。父は当時、今でも怖いと言っていました。声をかけるタイミングで事態は変わっていたかもしれません。
人生はちょっとのタイミングでうまくいったりいかなかったり。あの時、あの瞬間、あの場所でと後から後悔したり喜んだり。でも自分を知り、備えて、その瞬間をきちんと生きれば後悔は少ないように思います。カップは割れて中身はこぼれましたけど、幸い割れることはありませんでした。
少しの差で後悔しないよう、日々気を付けていきたいと思います。