高野山でのリトリート

雨に煙る緑。高野山は雨の中、変わらず静寂なるパワーで満ちていまし
た。私は久しぶりに参加した高野山のリトリートに少し緊張していまし
た。昨年、目を患って遠出は避けてきましたし、体力的にも不安な気持ち
がありました。

奥の院へ続く参道を歩く瞑想で進みながら、ゆっくりと心がほぐれていく
のを感じました。想いを切っていきながら心が静かになっていく。その歩
みが弘法大師が眠る御廟に続いていきます。御廟で瞑想をしていると弘法
大師の声が聞こえたような気がしました。「よく来たな。」久しぶりに訪
れた私を包み込むようなそんな感覚でした。多分それは私の心の声だった
のかもしれません。でもその声を感じてから一気に心が自由になり緊張か
ら解放されました。それから私は私のままでいい。その言葉も聞こえてき
ました。その言葉を聞いた途端、とてもポジティブな前向きな気持ちにな
りました。弘法大師やその後に続いて修行をされた数々の先人のエネル
ギーを身近に感じたような気がしました。

気づかないうちに自分の体や心の壁に阻まれ窮屈になっていたようです。
確かに時は流れ、私も変わり、不自由な事も増えました。でも変わらない
ものはずっと私の心の中にある。それを改めて思い出したリトリートでし
た。

変わったと言えば、高野山は随分外国の観光客が増え、宿坊もそのためか
奇麗に快適になっていました。でも宿坊の精進料理は変わらず美味しかっ
たですし、何もなかった宿坊の近くには新しくカフェが出来ていました。
次に高野山を訪れる時には何を感じるのだろう。時の流れとともに変わる
中で、しっかりと変わらない自分を見つめていきたいと思ったリトリート
でした。