当たり前の幸せ

先日、吉本ばななさんの「私と街たち」というエッセイを読みました。実は彼女とは同世代。若くして作家となったばななさんがどんな街で華々しく暮らしていたのかという興味もあり手に取った本でした。千駄木生まれというばななさん。子供時代やご家族との話、作家となり様々な経験をしながら東京を移り住んでいく過程を自分に照らし合わせつつ読みました。故郷の事、学生時代や一人暮らしをしていた頃の思い出、私にも街の思い出が沢山ありました。

ばななさんが住んでいた街で出会った友人たちとの交流が楽しくもせつなくて、その街や友人たちを大切されているのが伝わるエピソードばかりでした。特に心に残ったお話は病気の友人を訪ねて看取ったエピソード。正確には救急車を呼んで病院に入院させたとありましたが最期の時を友人と過ごす瞬間を考えると泣けました。街のお話でありながら無常観を感じ、人生の在り方を考える本だと思いました。

中でも幸せとは当たり前の事ができる事という言葉が心に響きました。人の死と向き合い、これから訪れる加齢についても同い年だからなのか共感できます。素敵な街で華やかに暮らしていても昨日出来た事が出来なくなって現実。おいしい物を自分の足で歩いて食べにいけるのが幸せというフレーズに納得する自分がいました。どこに住んでいても、自分の足で出歩き経験し、美味しい食事が出来ればそれで幸せ。普通に生活する事が当たり前の幸せなのだとしみじみ感じています。