ぼんやりが得意

実は「ぼんやり」する事が得意です。

意識的にする時もありますし、忙しい時や疲れた時など、突然ぼんやりが始まる時もあります。

以前、満員電車に乗って仕事に行っていた時、慣れない人ごみに疲れ果て、朝からぐったりという毎日を送っていました。又、電車も遅れると遅刻が心配になるので少し早めに行って休んで行こうと思い立ちました。

調度、職場のビルの一階にカフェがあり、早めに行ってコーヒーを頼んで、本を開いたところでした。軽やかな音楽とコーヒーの香りに包まれ、それは突然始まりました。目を開けているけど、見ているという意識もなく、音楽もただ心地良いだけで刺激ではなく、考えることも、想いも浮かんでこない。ただぼんやりしているのです。

驚いた事に、そのようなぼんやりした時間を過ごすと、満員電車でボロ雑巾のようになっていた心身が元気になるのです。それからずっと仕事をする時には早めに行って、意識的にぼんやりするようにしています。

時には忙しい時に、不意にぼんやりが始まる事もあります。

ある時、とても忙しく慌ただしい気持ちで自転車でバタバタとしていました。信号待ちで「ここの赤信号長いからなぁ。」と自転車から降りて赤信号を見つめていた時、ぼんやりが始まりました。気がつくと赤信号が青に変わり、その青が点滅して赤になるところでした。止まっていた車の運転手が不思議そうな顔をして私を見ながら走り出しました。確かに青になっても前を向いたまま動かない私は少し変だったかもしれません。しかし、その数分のぼんやりのお陰で焦っていた気持ちが治まり、スッキリとしていました。

以前、金井先生がリトリートで何もしない時間を持ちなさい。と言われた事がありました。その時、いつもやっているぼんやりを思い出し、そういう事だったのかと合点がいきました。

私たちは普段、刺激を受けながら生活しています。その刺激によって思考や想いが作られます。ぼんやりするとはその刺激から解放されている状態だと思います。ただそこに存在するだけなのです。

忙しい人には特にお勧めです。カフェでも公園のベンチでも。ぜひお試しくださいませ。