穏やかに生きる

2月の半ば、義母が急に体調を崩し、施設から救急車で搬送され、病院に入院しました。一時は集中治療室で意識もなく、私たちも覚悟をしました。目が覚めてからもせん妄がひどく、急に怒り出したり点滴を抜こうとしたり。病院で治療してもらっているという感覚がなくなるようなので私も通って義母が安心するよう言葉がけをしました。

約1か月の入院を経て、義母は先日幸いにも退院しました。もしかしたら認知症がひどくなるのではと心配しましたが、以前より穏やかになりその心配も今のところないようです。入院中は夢ばかり見ていたという義母。心の中で色んな体験をしたのかもしれません。

ちょうど2年前、義母は施設に入所しました。認知症もあり、義父との生活が成り立たなくなったこと、私が体調を崩し、面倒がみれなくなった事がきっかけでしたが、当初は認知症で怒りっぽく施設で生活ができるのかと心配しました。施設の生活は食事や生活のすべてを面倒をみて頂けるので安心ですが自由はなくなります。ゴミ屋敷でカップ麺でもいいから家に帰りたいと言った義母の言葉を覚えています。好きなものを食べ、好きなところを行ける、その自由と引き換えに安心と安全を手に入れる。私自身も老いることの不自由さを考えてしまいました。

その施設の生活にも慣れ、入院した時は早く施設に戻りたいと言い続けていた義母。念願叶い、施設の小さな部屋に戻り、ここが一番と笑っていた義母。その穏やかな様子に涙が出そうでした。

以前は杖で歩く事ができたのですが、入院生活で足腰が弱り、今は車いすの生活になってしまい、義母の生活範囲はますます狭まってしまいました。それでも穏やかに笑って過ごせる。

体の自由さは減っていくけど、心の自由を手に入れれば穏やかに幸せに暮らせるのでしょう。老いることそして満ち足りていきること。義母の姿から色々考えさせられた出来事でした。