こだわりを捨てる

それは数か月前、まだ八月のこと。施設にいる母から爪切りが欲しいと連絡がありました。調度お墓参りで親戚に会ったので母に渡してもらうように頼みました。面会に行った叔母が言うには母が爪切りで指を切ったので施設では使用禁止となり爪はスタッフさんに切ってもらうようになったらしいのです。そのことを母に言っても自分で切ると言い張り説得するのが大変だったと。

その時は何とかわかってくれたようですがその後も何度も爪切りの連絡が来ました。葉書で爪切りを送ってくださいと書かれていたり。爪切りが施設の預かり物となったので何とかして手に入れたいのだと思います。説明するとその時はわかるのですが認知症もあるので忘れてしまうのです。爪に対しての思いが母を覆っているようです。

勿論スタッフさんにお願いすれば切ってくれますが、毎日というわけにはいきません。爪を見る度イライラするのでしょう。

母は元々爪を清潔にし短く切る人でした。綺麗に切りそろえた母の爪をよく覚えています。爪を切るのは母のこだわりなのだと思います。こだわりが強く数か月もとらわれているのです。年をとる事、変化をする中でとらわれず、今の状態を受け入れる。瞑想の大切さを母を見て感じます。

来月、久しぶりに母に会いにいきます。今回も行くと連絡をすると真っ先に爪切りの話をした母です。ずっと爪にこだわり、とらわれている状態を解決するべくうまく説得出来ればいいと思っています。