近所のタバコ屋のワンちゃんは大人しいメスの柴犬。今時珍しく外で飼われてい
ます。
以前、自動販売機が荒らされたので、泥棒よけに番犬として飼っているのに全く
吠えない、とタバコ屋の奥さんがこぼしておられます。私が名前を呼ぶと控えめに
尻尾を降ってくれますが、まるでおしとやかな箱入り娘の風情。仔犬の頃から、は
しゃいだり、吠えたりするのをほとんど見たことがありません。
そのワンちゃんが時々びっくりするくらい吠える事があります。それはご近所のあ
るご老人が通る時で、奥さんの話では、仔犬の頃、いじめられたのだとか。それを
覚えているらしく、姿が見えると狂ったように吠えるのです。
先日も、吠えるワンちゃんと腰の曲がったご老人を窓越しに見ながら、子犬の頃
の傷は消えないのだなぁと思ってしまいました。
瞑想教室に参加される方にも、子供の頃悩んだり、傷ついた経験がトラウマにな
ったという人が意外と多いのです。
かく言う私も親子関係で悩んでいました。厳しい家庭で育ったので、いつも人目が
気になり、有りのままを受け入れてもらえない、取るに足らない人間だと悩んでい
ました。
私は瞑想に出会ったので、次第に心の傷は解放され、今ではとても良好な親子
関係を築いています。子供の頃の傷は不幸だけど、いつまでもワンちゃんのよう
に吠え続けるのはもっと不幸です。
私たちには瞑想がある、それはとても嬉しいことです。心の傷は日々の瞑想で
いつかは消えていくのですから。
幸せになろうと思った時、瞑想を始めた時から人は変わっていけるのだと思いま
す。